診療班リレーコラム リウマチ班の紹介

佐賀大学医学部附属病院 長嶺里美

関節リウマチってどんな病気?

関節リウマチ(RA)は、かつては「進行すると関節が壊れて、寝たきりになってしまう病気」と考えられてきました。しかし現在は薬物治療が大きく進歩し、リウマチということを意識することなく長く元気に生活できる患者さんが増えています。もちろん今も手術が必要になる方はいらっしゃいますが、薬と手術の両方を組み合わせながら、より良い生活を目指せるようになったことは大きな変化です。

リウマチ診療の魅力

リウマチ外来では、印象的な瞬間に何度も出会います。手の痛みで仕事ができないと悩んでいた方が、治療によって症状が改善し、「また普通に仕事ができるようになりました」と笑顔で伝えてくださることもあります。治療の力で患者さんが自分らしい生活を取り戻す瞬間に立ち会えるのは、何度経験しても大きな喜びです。

そして整形外科でリウマチを診る魅力は、ここからもう一歩広がります。薬で病気の進行を抑えるだけでなく、必要に応じて手術で関節の機能を取り戻すことができるのです。薬物療法と手術療法の“二刀流”で治療をデザインできるのは整形外科医の強みです。「薬でできること」と「手術でできること」を組み合わせることで、患者さんにより幅広い選択肢を提示できるのは、この分野の大きな魅力だと感じています。

現在のリウマチ班

2013年に当科にリウマチ外来を開設し、現在は週3回体制(月・金:長嶺、水:伊藤恵里子)で、およそ300名の患者さんの薬物治療を行っています。これまで多くの患者さんをご紹介いただいており、佐賀に根ざした整形外科系のリウマチ外来として発展してきました。

患者さんの年代は10代から90代まで幅広く、とくに70歳以上の高齢患者さんが半数近くを占めています。高齢の方の診療では、関節の炎症を抑えるだけでなく、骨粗鬆症や感染症といった合併症への配慮も欠かせません。単に関節だけを診るのではなく、全身を見渡しながら一人ひとりに合った治療を考えることが求められるのが、現在のリウマチ外来の特徴です。

また、標準的な治療を行っても十分な効果が得られない「D2T RA」と呼ばれる難治例に直面することもあります。そのような場合には、患者さんと相談を重ねながら一緒に治療に取り組むことで、さらに多くの学びや気づきを得ることができます。そして患者さんとともに一歩ずつ前進していく過程そのものが、外来診療の大きなやりがいとなり、リウマチ診療の奥深さを改めて実感させてくれます。

学生・研修医の皆さんへ

関節リウマチは整形外科外来で必ず出会う身近な病気です。専門に進まなくても、基本的な診断や治療の流れを理解しておくことは、どの分野に進んでも役立ちます。

整形外科のリウマチ診療には、薬物治療で炎症を抑え、必要に応じて手術で関節機能を回復させるという“二刀流”のアプローチがあります。保存療法と手術の両方を理解したうえで最適な選択肢を提示できるのは整形外科医の強みです。

外来を見学した学生さんから「リウマチって難しそうだと思っていたけれど、意外と面白いですね」と言われることがあります。痛みや不自由さで悩んでいた患者さんが再び元気に日常生活を取り戻す姿に触れると、この分野のやりがいをきっと感じてもらえるはずです。

リウマチ診療に少しでも興味のある方は、ぜひともご連絡ください。お待ちしております!

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