整形外科女性医師の現状

佐賀大学医学部附属病院 長嶺里美

まだまだ少数派の整形外科女性医師

 整形外科は体力を使う診療科というイメージもあり、これまで男性医師が大多数を占めてきました。実際に、日本整形外科学会に所属する女性会員の割合は全体の約7%程度にとどまっています。

増えてきた女性医師たち

 とはいえ、近年は少しずつ状況が変わっています。女性医師の数は着実に増えており、学会や研修会でもその存在感が大きくなってきました。ライフイベント(結婚・出産・育児)とキャリアを両立させながら働くロールモデルが現れていることも大きな変化です。先輩たちが築いてきた道をさらに広げていくことで、これからの整形外科はもっと多様で活気ある分野になるでしょう。

整形外科女性医師の存在意義

 整形外科における女性医師はまだ少数派だからこそ、学生や後輩にとって身近なロールモデルになれる存在です。実際に「女性の先生が活躍している姿を見て整形外科を志望しました」という声もあります。これまで少なかった道を切り拓き、次世代にバトンを渡していけるのは、大きな役割であり魅力だと感じています。

 また、性別にかかわらず多様な医師が集まることは、診療やチームに新しい視点をもたらし、整形外科全体をより豊かにする力になります。さらに、女性医師が加わることで、患者さんにとっても「相談しやすい」「安心できる」と感じられる場面はきっと増えます。医療の選択肢が広がることは患者さんにとって大きなメリットです。女性整形外科医の増加は、その多様性をさらに広げることにつながり、診療の質や働く環境の向上にも大きく寄与しています。

学生・研修医の皆さんへ

 整形外科は手術や外来など体を使う場面も多く、ハードなイメージを持たれがちです。しかし、実際には働き方の工夫やサポート体制が整っており、キャリアとプライベートを両立させながら活躍している先輩がたくさんいます。育児や家庭と向き合いながら専門性を高める医師も増えており、ライフイベントを経てもキャリアを続けやすい環境が整ってきています。

 また、整形外科の魅力はそのフィールドの広さにもあります。スポーツ、外傷、関節外科、脊椎脊髄外科、骨軟部腫瘍、リハビリなど、新生児や小児から高齢者までを扱っており、幅広い分野から必ず自分の興味やライフスタイルに合ったキャリアを選ぶことができます。

 「大変そう」と感じるよりも、一度現場を見学して意外な面白さや自分に合ったスタイルを見つけてほしいと思います。整形外科は、性別にかかわらず誰もが挑戦し、自分らしいキャリアを築けるフィールドです。

 女性整形外科医の道に関心のある方は、ぜひお気軽にお声がけください!

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