[リレーブログ]
2025.07.11
佐賀大学医学部附属病院
松村 陽介
診療班リレーコラム 第3回 膝関節班の紹介
佐賀大学整形外科では、診療班ごとに特色ある臨床・教育・研究活動を展開しています。
今回は、人工膝関節置換術をはじめ、スポーツ整形や骨切り術など幅広く診療を行う膝関節班の活動をご紹介します!
【診療内容と特色】
膝関節は大腿骨・脛骨・膝蓋骨からなる下肢の中心にある関節であり、歩行・階段昇降・方向転換といった動作の要となる重要な関節です。膝がうまく機能しないと、下肢全体のバランスや運動機能が著しく損なわれ、日常生活や社会参加に大きな制限が生じます。
当科では、変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術(TKA)や膝関節周囲骨切り術、また前十字靱帯(ACL)損傷に対する再建術や半月板損傷に対する鏡視下手術など、多様な膝疾患に対応しています。当科の特徴の一つに、両側同時人工膝関節置換術(simultaneous bilateral TKA)があげられます。一度の入院、麻酔で両膝の治療が行えるメリットがある一方、周術期の合併症が増加するという報告もあるため、患者さんに十分説明し納得して治療を受けてもらえるように努めています。
すべての患者に対し、術式の標準化と合併症の低減を重視した高品質な診療を提供しています。
【教育と研修】
膝関節班では、以下のような教育プログラムを通じて、学生・研修医・専攻医の育成を行っています。
- TKA、膝関節周囲骨切り術やACL再建術などの手術見学・助手からの段階的トレーニング
- 膝関節のX線・MRI画像読影や術前計画のミニレクチャー
- 膝の視診・触診・穿刺などの基本的な診察技術の指導
- 症例検討カンファレンス・学会発表・研究会参加
【研究活動】
当班では、simultaneous bilateral TKAやTKA前後の下肢アライメントと患者立脚型評価に関する臨床研究を推進しています。
高齢化の進行に伴い、両膝に変形性関節症を有する患者が増加しており、一度の手術で両膝を治療する同時手術の有効性・安全性・合併症リスクの検討は、今後の整形外科診療において重要なテーマです。
研究に関心のある学生・若手医師には、症例データの解析や学会発表のサポート体制も整っています。希望者には個別に対応いたしますので、ぜひご相談ください。
【膝関節班からひとこと】
膝関節は単なる“関節”ではなく、ヒトの移動と生活を支える土台です。加齢、スポーツ障害、外傷など、あらゆる年齢層の患者に関わる疾患領域であり、その治療には確かな技術と深い理解が求められます。
佐賀大学膝関節班では、段階的な手術教育、画像診断の読み方、研究活動への参加など、幅広い経験ができる環境を用意しています。
患者さんの機能回復とQOL向上に貢献する、やりがいのある診療に、チームの一員として参加してみませんか?
病棟実習・手術見学・研究体験、すべて大歓迎です!
ご興味のある方は、ぜひ整形外科医局までお気軽にご連絡ください。