« 右人工股関節手術を受けた患者さんへ | メイン | 発行日 平成14年6月20日 教授 佛淵孝夫 »

『参考』インフォームド・コンセント(IC)について

ICとは
「患者が自分自身の病気のこと、病気に対する診療(診断、治療など)の内容を医療従事者より分かりやすく説明を受けた上で、患者自身が選択可能なことについては選択し、納得ずくでの診療が行われること」
  医療従事者と患者・家族との信頼関係が必須ICの歴史について「ヒポクラテスの誓い」医師は患者のために最善をつくすこと
*ナチスの人体実験の反省

1947年「ニュルンベルグ綱領」
1964年世界医師会「ヘルシンキ宣言」
1973年アメリカ病院協会「患者の権利章典」
1983年「生命倫理に関するアメリカ大統領委員会」の最終報告

*当初焦点が医師に置かれ、裁判における法的概念とされた。
*最終的には「医師と患者の信頼関係を確立するための原則」として患者に焦点が置かれるようになった。(道徳的概念)
*「同意」は自主的であり、医師の「説明」には説得、操作、強制の要素は含まれるべきではない。

1990年生命倫理懇談会「説明と同意」

1. 病名と病気の現状
2. それに対してとろうとする治療の方法
3. その治療法の危険度(危険の有無と程度)
4. それ以外に選択しとして可能な治療方法とその利害損失
5. 予後、すなわち、その患者の疾病についての将来予測

*あくまで患者に希望を持たせるように十分に配慮しながら説明することが大切であるとしている。

1995年厚生省「ICの在り方に関する検討会報告書」
1996年「元気の出るインフォームド・コンセント」

*ICの一方の主人公を医師のみでなく医療従事者としている。
*ICの法制化は責任回避のためとなり、信頼関係を損なうとして見送られた。
*結論として「患者が自らの状況を認識して前向きの闘病と生き方を自覚することであり、医療従事者が専門的職業人として患者の生き方のより良い支援者となることに生き甲斐を感じることである」としている。

最近の問題点
*「カルテの開示」、医療事故に対する国民の批判などから医師が説明義務違反を恐れ、「脅しコンセント」へと逆行している。