佐賀大学整形外科助手 中村隆弘
皆様はじめまして。整形外科の中村隆弘です。私は昨年の3月まで4年間、大学院で関節炎の研究をしておりました。4月から佐賀大学整形外科で勤務しております。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様はじめまして。整形外科の中村隆弘です。私は昨年の3月まで4年間、大学院で関節炎の研究をしておりました。4月から佐賀大学整形外科で勤務しております。どうぞよろしくお願いいたします。
1.はじめに
人工股関節置換術を受けられた患者さんからの治療をすると口の中に住んでいる菌が体の中を回って人工股関節について感染するのではないかという質問をよく受けます。確かに口の中は雑菌がいっぱい住んでおり、たとえば歯についている歯垢(しこう)は菌の塊そのものです。今回は人工股関節置換術を受けられた患者さんが歯の治療を受けられる際に知っておいてもらいたい事について、特に最近の話題について、お話したいと思います。
2.歯の治療と人工関節
抜歯など歯の治療の後に口の中に住んでいる菌が血液の中に入り込み、別の場所を化膿させる病気の一つに、感染性心内膜炎(かんせんせいしんないまくえん)と言う病気があります。生まれつき心臓に障害がある方に起きやすく、心臓の内部に細菌が住み着いてしまいます。ですから、そのような方は、抜歯などの歯の治療を行う前に化膿止めの薬を飲むことが勧められています。
では、人工股関節置換術を受けられた患者さんでも、歯の治療を受けられた際に、菌が体の中を回って人工股関節の感染を引き起こす事があるのでしょうか?実はあります、しかし、その割合は非常に少なく、人工股関節置換術を受けられた方1万人あたり、4人から7人(0.04%から0.07%)程度であるといわれています。
歯の治療後に人工股関節に感染を引き起こす菌は緑連菌(りょくれんきん)というあまり聞き慣れない菌が最も多く、日頃から歯の根っこに住み着いている菌です。そして、抜歯などの歯の治療の後から分間は口の中にいる菌が体の中を回っているともいわれています。そこで、歯科処置を行った後、から分間、体を回っている菌を化膿止めで退治することができれば、歯の治療後に起こる人工股関節の感染の大半を減らすことができます。
では、人工股関節置換術を受けられた患者さんでも、歯の治療を受けられた際に、菌が体の中を回って人工股関節の感染を引き起こす事があるのでしょうか?実はあります、しかし、その割合は非常に少なく、人工股関節置換術を受けられた方1万人あたり、4人から7人(0.04%から0.07%)程度であるといわれています。
歯の治療後に人工股関節に感染を引き起こす菌は緑連菌(りょくれんきん)というあまり聞き慣れない菌が最も多く、日頃から歯の根っこに住み着いている菌です。そして、抜歯などの歯の治療の後から分間は口の中にいる菌が体の中を回っているともいわれています。そこで、歯科処置を行った後、から分間、体を回っている菌を化膿止めで退治することができれば、歯の治療後に起こる人工股関節の感染の大半を減らすことができます。
3.歯の治療の前に化膿止めを内服する。
このようなことから、私たちは、歯の治療を行う患者さんに化膿止めを前もって内服することを勧めています。しかし、どんな化膿止めをどのくらい内服するかについては、はっきりした基準がないのが現状です。そこで、先ほど紹介した歯の治療後に起こりやすい感染性心内膜炎という病気の化膿止めの飲み方が参考になります。歯の治療の時間前に化膿止めのユナシン(ファイザー製薬)、もしくはサワシリン(昭和薬化藤沢製薬)を内服します。ユナシンやサワシリンはペニシリン系という化膿止めです。注意することは、以前ペニシリンアレルギーがあった方は内服してはいけないということです。そのような方はエリスロマイシン(富山、大正富山、沢井製薬)やダラシン(住友ファイザー製薬)といった別の化膿止めを内服するようにします。(表1)
では、どんな歯の治療の時に化膿止めの内服が必要なのでしょうか。歯磨きで必要ありませんし、歯の治療の中でも充填処置などの簡単な処置では化膿止めの内服の必要ありません。抜歯、歯の周辺の外科手術、歯石除去、インプラント手術などでは、化膿止めを内服したほうが良いでしょう。(表2)
では、どんな歯の治療の時に化膿止めの内服が必要なのでしょうか。歯磨きで必要ありませんし、歯の治療の中でも充填処置などの簡単な処置では化膿止めの内服の必要ありません。抜歯、歯の周辺の外科手術、歯石除去、インプラント手術などでは、化膿止めを内服したほうが良いでしょう。(表2)
4.最後に
歯の治療前に化膿止めを内服するというお話をしましたが、化膿止めは種類や量を間違えたりすると良くありませんし、副作用を起こすこともあります。また、化膿止めにはたくさんの種類があり、名前が異なっていても似通った効果があったりもします。必ずしも、今回取り上げたのと全く同じ化膿止めである必要もありません。くれぐれも、歯の治療をする場合は人工股関節手術を受けられた事を歯医者さんに相談をしていただきたいと思います。
表1どんな化膿止めを飲んだほうが良いか?
表どんな歯の治療の時に化膿止めの内服が必要か?
表1どんな化膿止めを飲んだほうが良いか?
化膿止めの名前 | |
ペニシリンユナシン | アレルギー無しサワシリン |
ペニシリンエリスロマイシン | アレルギー有りダラシン |
表どんな歯の治療の時に化膿止めの内服が必要か?
内服必要 | 抜歯、歯石除去、インプラントの手 |
内服不要 | 充填処置、抜糸、フッ素塗布、レントゲン撮影 |