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2023.07.17

股関節便り 第38号

  • ご挨拶(佐賀大学医学部整形外科 教授 馬渡正明)
  • 抗菌人工股関節の開発(佐賀大学医学部整形外科 教授 馬渡正明)
  • 人工股関節と金属アレルギー(人工関節学講座 准教授 河野俊介)
  • 人工股関節レジストリーについて(整形外科 講師藤井政徳)
  • 病棟医長としての1年間:挑戦と変革(整形外科 助教 上野雅也)
  • 膝と股関節と私(整形外科 助教 馬渡大介)
  • 関節リウマチでお困りの方へ(整形外科 診療講師 長嶺里美)
  • 膝関節班から初投稿⁉(整形外科 助教 松村陽介)
  • ~肩関節班だより~(整形外科 助教 泉政寛)
  • 足の悩みはありませんか?(整形外科 助教 坂井達弥)
  • 新任の挨拶

内容

お世話になりました

佐賀大学医学部 整形外科 教授 馬渡正明

今年もまた「股関節だより」をお届けする時期になりました。第38 号となります。記念すべき第1号は2000 年の1月に発行されましたので、かれこれ23 年の年月が過ぎています。この患者さんへの情報誌である「股関節だより」を始められたのが前任の佛淵孝夫教授(後の佐賀大学学長)です。股関節に関わる様々な情報を載せて、当整形外科で入院治療された方に郵送する形をとっています。スタート時点では発行部数は少なかったようですが、23年を経た現時点では約8,000 部となり、それだけの患者さんが当院で入院治療を受けられたということになります。もちろんこの間に不幸にもお亡くなりになった方もおられますし、住所不明で郵送できない場合や、また郵送を望まれない方もおられます。現在では佐賀大学整形外科のホームページ(https://www.seikei.med.saga-u.ac.jp)で第1号からすべての「股関節だより」がご覧いただけますので、是非見直してもらえればと思います。今から見れば古い情報もありますが、股関節治療の進歩もみられますし、若々しかった昔の写真に懐かしく思われる方も多いのではないでしょうか? 

第24 号(2009 年8月)が佛淵先生の最後の号で、第25 号(2010 年5月)から今回の第38 号までが私が編集責任者となります。かつて年2回発行していたこともありますが、現在は年1回となりました。第27 号(2012 年6月)からは「脊椎だより」も毎回発行するようになり、皆様のお手元に届いていることと思います。現在の佐賀大学整形外科教室では、股関節のみならず、肩関節、膝関節、足関節など、主要な関節の疾患に対し地域の拠点としての責任を果たしています。今回はそれぞれのチーフに現在の状況について寄稿してもらっています。患者さんの中には「股関節も膝も足首も肩も痛い」と言われる方もありますし、関節リウマチで全身の関節が侵されると脊椎を含めて四肢の障害をきたします。関節リウマチも整形外科がしっかり診ていかなければならない疾患で、近年では多くの薬が開発され患者さんの福音になっています。このあたりの話も今回は記載していますので、目を通してもらえればと思います。ということで、今回は「佐賀大学整形外科教室だより」になっています。

2005 年に佐賀大学に赴任した私もついに来年の3月に退官となりました。19 年と3か月間、福岡から車で通い続けることになります。一度自損事故を起こして車を大破させてしまいましたが、幸い大ケガには至らずに済みました。冬場の三瀬越えはスリル満点で、ドキドキしながら運転していました。通い始めたころは雪が降る回数も多く、12 月から3月までは冬用タイヤに毎年履き替えていましたが、この数年はチェーン規制が年に2~3度とかなり少なくなったので、タイヤを交換することはなくなりました。やはり温暖化のせいでしょうね。大雪が予想されるときは前泊するなりして対策することにしています。昨年は一度高速道路も通行止めになったので、出勤できなかったことがありましたが、例外的でした。往復100㎞の通勤でしたので、地球10 周くらいは運転したことになるようです。車も数台乗り継ぎました。冬場は大変ですが、それでも美しい四季折々の風景があり、意外と飽きることなく通勤することができました。 さて私の今後ですが、前回の「股関節だより」でお伝えしたように、博多区冷泉町で医療ビルを建設し、2階部分に整形外科クリニックを開院します。クリニック名は【福岡関節外科クリニック】です。整形外科分野の中でも特に関節外科という名前を入れることでより特化したクリニックを目指したものです。

これまで大学では股関節疾患を中心に診療を行ってきましたが、脊椎を含め、膝、足、さらには上肢の関節がスムーズに連動しなければしなやかな歩行、運動を行うことはできません。ただ一つの関節を見るのではなく、全体的なバランスを考慮した治療が必要です。常日頃からの体のコンディショニングが大事ですし、関節疾患の予防にも配慮していきたいと考えています。その一環として初動負荷理論で知られる小山裕史氏(株式会社ワールドウイングエンタープライズ代表)が開発されたトレーニングマシンを導入します。このマシンは、野球のイチロー選手が現役時代から使用していたことで有名で、ほかにも多くの一流アスリートがコンディショニング維持のために使っています。WBC で活躍したダルビッシュ投手のYouTube でもそのトレーニング風景がでています。小山さんとは以前からの知り合いで、いつか医療の場で使ってみたいと思っていましたが、やっとこの機会に実現することができました。実際このマシンを使うと関節可動域が改善し、例えば体が固く、前屈しても指先が床に届かないような人が、マシンを使った直後は掌が床につくようになります。かなり不思議な状況に理解が追い付かないのですが、関節可動域が拡がることは間違いないようです。

臨床的には肩こりや腰痛にかなり効果的だと思っています。もちろん、股関節、膝関節、肩関節の可動域改善に寄与すれば、関節症の進行防止に役立つ可能性があります。術前、あるいは術後でも関節可動域の向上はリハビリにおいて重要ですので、このマシンが役立つことを検証していきたいと思います。他人(理学療法士)が行ってくれるリハビリではなく、あくまでマシンを自分が使うことで行う能動的なリハビリテーションですので、価値が高いと思っています。もちろん手術もこれまで通り行います。ただこのクリニックでは手術ができないので、佐賀大学関連病院の福岡ハートネット病院などで手術を行います。術前と術後の経過をクリニックで診ていきます。これまで大学や関連病院で診せていただいていた方も引き続き診せていただければ幸いです。

整形外科の治療は長く診ていくことがとても大事なことですので。 ビルの1階の画像センターには、最新式のMRI、CT、骨密度計測器、レントゲン装置を設置し、その日に検査ができるようにしています。大学だとなかなか検査をするのに時間がかかるので、すぐに検査できることは大切です。この結果で治療方針なりが決まれば、手術となったとしても、術前後のリハビリテーションをしっかりやっていくことが大切になります。骨粗しょう症対策もこれまで以上に関わっていきたいと思います。定期的な骨密度計測も大切で、できれば同一の機種で経時的に調べることがいいと思います。予防、治療には運動とともにバランスの取れた食事が基本ですが、薬も必要に応じて処方します。多少転んでも折れない骨でありたいですね。一生涯骨折することなく過ごせることは貴重で大切なことだとつくづく思っています。誰も骨折の痛みは経験しないでほしいと願っています。これまではどうしても手術のことを中心に治療を行ってきましたが、予防も含め、全人的な観点で診察していければいいなと思っていますし、大学教授として多くの経験を積んできましたので、今後もこの経験を活かしていきたいと思います。

ビルの3階と4階には消化器内科などの診療科が入居予定で、それぞれと連携しながら診療していくことにしています。 クリニックは博多祇園山笠で有名な櫛田神社の参道沿いにあり、博多駅からも近く交通の便がいいところにあります。また近くには東長寺という真言宗の寺院もあり、日本最大級の木造如来坐像は必見です。クリニック受診の際には是非参拝してもらえればと思います。ショップやレストランが集まるキャナルシティも歩行圏内ですし、もちろん博多駅周辺はすべてそろいます。九州最大の歓楽街である中州もまた徒歩圏内です。博多見物を兼ねてきてもらえれば幸いです。簡単な地図も載せていますので参考にしてください。来られる際は092-409-2424(2023年4月受付開始)に電話予約してきてもらえればと思います。月曜から土曜日まで診察予定です。お待ちしています。

これまでこの「股関節だより」を通して、私たちが行ってきた臨床や研究、教育のことなど多くのことを発信してきました。患者の皆さんが少しでも安心して治療を受けることができるようにと続けてきましたが、お役に立てたでしょうか?この「股関節だより」を渡され読んで受診される方も沢山おられましたので、よかったのだと思っていますが、いったんこれで終了とさせていただきます。今後は次世代がまた違う形で情報発信してくれると思います。長い間にわたりお世話になりました。今後とも佐賀大学整形外科をよろしくお願いします。最後になりますが、日本人工関節学会のニュースレターに掲載された原稿を掲載します(一部改変)。在職中に私が行った仕事の中で、最も力を注いだものが抗菌インプラントの開発でしたので、一読いただければ幸いです。 またどこかで皆様にお会いできますことを楽しみにしております。


抗菌人工股関節の開発

佐賀大学医学部 整形外科 教授 馬渡正明

整形外科医にとって術後創部感染症は現在でも最も厄介な合併症である。特に人工関節を始めとしたインプラントを用いた手術である場合、抜去を余儀なくされることがあり、医療者、患者ともに多大な負担になる。QOL 改善のために行った行為が長期間に及ぶ治療に苦しむことになり、経済的、精神的損失は甚大である。近年では患者の高齢化、糖尿病などの易感染性疾患の増加などにより、さらに治療が困難になってきている。また周術期のみならず慢性期での感染症も問題になっている。この難題への解決の模索はチャレンジングであり、外科医にとってプライオリティの高いものと思われる。 2005 年に佐賀大学に赴任する際に是非この問題に取り組もうと決心した。研究の開始に際しては当時の主任教授であった佛淵孝夫先生の多大なサポートにより、佐賀大学医学部病因病態科学講座の宮本比呂志教授(細菌学)を迎え、基礎実験を担う大学院生、さらに製造を担うメーカーからの研究員からなる抗菌インプラント開発チームが結成され活動を開始した。そもそも研究のきっかけになったのは赴任前に抗菌性、抗ウイルス性を持つある無機の素材を紹介され、臨床応用の可能性を問われたことであった(その素材は抗ウイルスマスクとして実用化されている)。結果として中性域の生体の中では抗菌活性が見いだせず断念したが、そこから別の抗菌素材の探求と生体インプラント表面へのコーティング技術の開発に取り組むことになった。

その中で無機系抗菌材料の一つである「銀」が候補の一つに挙がった。銀は各種の細菌に対して優れた抗菌性能を有する一方、生体に対して比較的安全性が高く、耐性菌ができにくいとされている。この銀をいかにしてセメントレスインプラントにコーティングするのか、そして抗菌作用のある銀イオンがはたして適切な濃度で溶出されるのか、経時的にはどうなのか、細菌のみに作用し、骨細胞には影響を及ぼさないような濃度設定ができるのか、動物実験で抗菌性と生体親和性が示せるのか、銀の全身への影響はないのか、など開発に際し様々な課題があげられた。10年に及ぶ研究の結果、銀とハイドロキシアパタイト(HA)を複合化し、それを金属表面にフレーム溶射するコーティング技術の開発に成功した。このコーティングにより、抗菌性能と同時に骨伝導能をもつインプラントが完成し、通常のインプラント同様安全に使えることが証明されたのである。そして銀HAコーティング人工股関節は、佐賀大学での治験を経て製造販売承認を取得し、2016年から広く国内の医療機関において使用されている(図1)。2022年6月14日時点、全国で13,085 例に用いられているが、感染によりインプラント抜去に至った症例はわずか9例、0.07%にとどまっている(内部データ)。さらに本発明は脊椎ケージにも応用され、2020 年製品化することができた。これまで132 施設、2,389 例に使用されているが、糖尿病患者2例、0.08%に感染を生じたものの、それ以外の症例では感染することなく、報告されている通常のインプラントの感染率より低下している。

研究開始から承認まで10 年を要したが、形にすることができたのはうれしい限りである。諦めずに続けたことが成功の秘訣であったが、思いを同じにしてくれた大学院生の頑張り(図2)と最初から産学連携の研究ができたことがよかったと思う。また研究と同時に特許申請を進められたことは大変重要で、大学で研究する以上大学の知財との連携も必須である。これらすべてのことが抗菌インプラント製品化につながった。現在まで、国内6件、米国2件、中国1件、欧州1件の特許が成立しており、大学の収入にも貢献している。またこの「世界初の抗菌人工股関節の開発」に対し、平成28 年度は第30回独創性を拓く先端技術大賞「特別賞」と日本人工臓器学会「技術賞」、平成29年度は第7回ものづくり日本大賞「特別賞」と第72回日本セラミックス協会「技術賞」、令和2年度は文部科学大臣表彰「科学技術賞(開発部門)」、令和3年度は全国発明表彰「日本弁理士会会長賞」などさまざまな賞を受賞できたことは望外の喜びであった。特に文部科学大臣表彰を受賞できたのは、大学教員としてやってきたものとして、格別であった(図3)。 今後も様々なインプラントの抗菌化を進めていければと考えているが、越えなければならないハードルもある。すべては患者さんのためであり、苦労を惜しまず、続けていきたい。


人工股関節と金属アレルギー

人工関節学講座 准教授 河野俊介

コロナウィルスに対する制限解除が行われ、少しずつ日常をとり戻しつつある中、皆様いかがお過ごしでしょうか。このような状況で来院が困難であり御無沙汰している方も多数いらっしゃいますが、紙面でのご挨拶にて失礼致します。今回の ‘ 股関節だより’ では ‘ 人工股関節手術と金属アレルギー’に関して書かせて頂きます。 もともと私たちの体には、ウイルスなど自分の体の成分と違う物が体の中に入ってくるとこれを異物として認識して攻撃排除する免疫反応が備わっています。この免疫反応の際に自分の体を傷つけてしまう場合がアレルギー反応となり、近年生活様式の変化などに伴いアレルギー症状を持つ患者さんは増加傾向にあるとされています。人工股関節全置換術後の使用金属によるアレルギー反応は遅延型アレルギー(IV型アレルギー)とされており、発症すると皮膚炎や関節痛などの症状を引き起こし、創の発赤や滲出液が出現することもあり術後感染との鑑別が困難な事もあります。また、人工関節全置換術後の金属アレルギーに対する正確な診断法は確立されておらず、発症回避が重要な予防対策になるため佐賀大学では金属アレルギーの有無をお尋ねし、可能性のある患者さんは皮膚科の先生に相談してパッチテストを行って頂いております。当院で使用している人工股関節は6Al(アルミニウム)-4v(バナジウム)チタン合金を基材として銀とハイドロキシアパタイトを表面にコーティングしています。摺動面(擦れるところ)はポリエチレンとセラミック(ジルコニアにアルミナを混入しコバルトで着色)となります(図1)。金属アレルギーを起こしやすい材質としてはニッケル、コバルト、クロム、水銀、金、パラジウムなどが挙げられ、骨頭に極少量のコバルトが混入されていますが、インプラントそのものにはこれらの金属は使用されていないことになります。
 

2020年以降に手術を行った760人851股関節にのぼる患者さんの調査では、お尋ねにて金属アレルギーを有していた患者さんの数は28人36股関節(4.2%)でした。そのうち11人12股関節(1.4%)の方が皮膚科のパッチテスト検査にて金属アレルギーと診断されました(検査陽性率は33.3%)。陽性になった金属はコバルト5人、スズ2人、白金5人、パラジウム3人、マンガン1人、クロム4人、ニッケル5人、亜鉛1人、金1人、水銀1人、プラチナ1人で、6Al-4Vチタン合金や銀などインプラントの金属を削った粉末で検査陽性となる患者さんはいませんでした。コバルトで強陽性となった3人(0.4%)の患者さんにおいてコバルトを含んでいない骨頭に変更して手術を行っておりますが、他機種の人工股関節に変更が必要となった患者さんはいませんでした。本調査も含めて佐賀大学では2000年以降に10,000例近くの人工股関節手術を行わせて頂いておりますが金属アレルギーのため機種の変更が必要だった患者さんはお一人のみ(0.01%)でした。 人工股関節全置換術における金属アレルギー出現の確率は高くはありませんが、検査を行う事で対策がとれますのでご心配な方は外来にてお尋ねください。コロナ感染症に対する規制も少しずつ緩和されつつある状況ですので外来でお会いし直接お話しできるのを楽しみにしております。また、疑問な点や気になる事がありましたらメール(sagaseikei@gmail.com)でも質問を受け付けておりますのでお尋ね下さい。


整形外科 講師 藤井政徳

股関節だよりをご覧の皆様、こんにちは。今回は、「人工関節ナショナルレジストリー」というものについてお話しします。これは、人工関節置換術を受けた患者さんを国単位で登録することで、人工関節再置換術の原因を明らかにし、再置換率をできる限り低減しようというものです。世界の多くの国々で人工関節手術の情報が登録され、解析されています。登録には患者さんの同意が必要ですので、当院でも手術前に登録の同意をお願いしています。この場を借りて皆様のご協力に深謝いたします。プライバシーの保護には十分配慮しており、個人情報は登録されず、手術やインプラントの情報のみが登録されます。日本では2006 年から実施されており、現在では日本整形外科学会が開始した日本整形外科学会症例レジストリーに組み込まれています。

人工関節の手術は、短期間だけでなく長期間にわたりデータを収集し、その成績を評価することが大事です。レジストリーで収集されたデータは、国全体での疾患の把握、インプラント情報の収集、インプラント及び手技の成績評価、成績の良いインプラント及び手術手技の普及などの目的に利用されます。 また、前回の股関節だよりでも紹介しましたが、最近では患者の皆様による主観的な評価を治療成績評価に取り入れ、統計学的に解析することで、現在の治療の中で改善できる点を見つけたり、将来のより良い治療に活かす試みが世界中で行われています。この度、レジストリーでも全国的に患者さんによる評価(アンケート)を収集することになりましたので、何卒ご協力を宜しくお願いいたします。

今回は、最近公開された2021 年度の人工股関節レジストリーの報告を紹介したいと思います。2021年4月1日から2022 年3月31 日の一年間に、日本では68,775 例の人工股関節手術がレジストリーに登録されました。この数は年々増加傾向です。性別でみると、女性が82%、男性が18% と圧倒的に女性の患者さんが多くなっています。この傾向は以前のデータと比べて大きな変化はみられず、日本で股関節の手術が必要になる疾患として最も多い変形性股関節症(関節軟骨が変性してすり減る)の原因の約8割が股関節形成不全(骨盤側の受け皿が浅い)によることに関係しています。股関節形成不全は女性の方が男性の10 倍多い病気です。また、手術を受けた年齢は、60~70 歳台が64% を占めており、続いて50 歳台、80 歳台となっています。以前のデータと比較すると、高齢の患者さんの割合が増えている印象で、日本全体の高齢化を反映していると思われます。

近年では人工股関節は随分長持ちすることがわかってきており、術後20 年経過しても、90%以上の患者は入れ替えの手術は必要ありません。一方で、レジストリーをみると、2021 年4月1日から2022年3月31 日の一年間に3,258 例の人工股関節再置換術(入れ替えの手術)が行われていました。なぜ入れ替えの手術が必要になったのか、その原因の内訳を見てみると、人工関節のゆるみ>脱臼>感染>骨折、の順になっています。「ゆるみ」が最も多い原因なのですが、2000 年代からポリエチレン(人工関節では軟骨のような役割を担う)がすり減らない素材に変わり、ゆるみの発生率は年々減少しています。脱臼と感染は非常に稀なものですが、一度起こると大変な合併症です。佐賀大学では脱臼しないように股関節周りの組織の修復の仕方を工夫したり、抗菌インプラントを使ったりと、日々その予防を心がけていますので、安心して手術を受けてください。骨折という合併症は、高齢化に伴いその割合が増加傾向にある合併症です。転倒を予防するため、また強い骨を維持するために、外を散歩するなど日々の運動を心がけ、続けることが大事だと思います。

最後になりますが、私のモットーは、患者さん一人一人に合った最適な治療を提供することです。治療に関して不安や疑問があれば、何でも気兼ねなくお尋ねください。出典:THA レジストリー2021年度症例統計 日本整形外科学会日本整形外科学会のホームページです。


病棟医長としての1年間:挑戦と変革

整形外科 助教 上野雅也

皆様、お元気でお過ごしでしょうか。私、上野は2022 年度に病棟医長を務めさせていただきました。この記事では、その1年間の経験や取り組みについてご紹介いたします。 病棟医長としての役割は多岐にわたります。整形外科の患者さん全員の既往歴や合併症のチェック、必要な検査の追加、患者さんとの連絡、麻酔科との調整、主治医の割り振り、手術の順番の決定、手術助手や急患担当の選択などが主な業務です。また、病棟患者数の調整、関連師長との調整、病院会議への出席、外病院からの応援要請への対応なども行っています。

2022 年度はCOVID-19 パンデミックが大きな影響を与えました。患者さんや病棟スタッフからの感染や濃厚接触の報告が入ると、その週の予定を急遽変更する必要がありました。特に第7波の際は忙しさのあまり、記憶がほとんど残っていません。整形外科スタッフや事務職員には大変な負担をかけましたが、病棟閉鎖や手術の停止をせずに1年を終えることができました。皆さんのご協力に心から感謝いたします。 さて、「医師の2024 年問題」をご存知でしょうか。大病院で働く外科医は一般的に「働きすぎ」とされており、過労死レベルの勤務時間を超えて働いていることが多いです。そこで厚生労働省が上限を設定し、違反した場合には罰則が適用されます。しかし、現場に勤務時間の短縮を求められても、具体的な対策はなかなか見つからず、現場に丸投げとなっています。

当科では昨年度から、朝の始業時間を15 分遅らせることや、勤務時間外で行われていた勉強会を勤務時間内にまとめるなどの取り組みを始めました。これにより、働きすぎによる医師の健康問題や過労死を防ぐための努力が進められています。また、職員同士のコミュニケーションを重視し、チームワークの向上や効率的な業務遂行を図ることで、働きやすい環境を目指しています。 今後も病棟医長の経験を活かして、医療スタッフの働きやすい環境づくりや、患者さんへの最善のケアを提供するために努力してまいります。ちなみに、今年度は塚本先生が病棟医長を務めています。どうぞ、今年度も引き続きのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。


膝と股関節と私

整形外科 助教 馬渡大介

親愛なる皆さま、こんにちは。股関節・膝関節班の馬渡大介でございます。佐賀大学での勤務も3年目になりました。患者さまから「変わらず生活できている」「先生方と出会えて良かった」「先生を見ると安心する」など嬉しいお言葉を沢山頂戴し、それをエネルギー源としてパクパク食べて生きています。いつも元気をくださり、ありがとうございます。今回は「膝と股関節と私」ということで、膝関節のお話をしますね。 長い間、股関節の痛みを抱えていると股関節や腰回りの関節が固まってしまい、正しく歩くことが出来ずに、歩く度に地面からの衝撃を全て膝で受けてしまいます。膝の中には座布団のようなクッション材(半月板といいます)があり、衝撃を和らげてくれていますが、どうしても年齢と共に薄くなってしまいます。誤った歩き方や、膝の環境変化、肥満などが重なると、クッション材は役割を果たせず、骨の表面を守っている軟骨が傷つき、擦り減ってしまいます。これは、皆さまが苦しまれた股関節の痛み(変形性股関節症)と同じような病態です。特に骨盤が後ろに倒れる(腰が丸まる)状態では、O 脚(ガニ股)となり、膝の内側の軟骨が削れやすくなります。

膝の軟骨がすり減ってしまう病態(変形性膝関節症)の治療の原則は保存療法(適度な運動、ダイエット、装具など)ですが、クッション材が傷んでいる場合や骨が曲がっている(O 脚、X 脚)場合は軟骨が擦り切れていく危険性が高いため、早めの手術介入が望ましいとされています。私はクッション材が膝から3mm 以上ハミ出している場合や関節液が10cc 以上溜まる場合は骨の形を矯正する「高位脛骨骨切り術」を積極的に行っております。患者さまの満足度の高い、大変優れた治療法です。ただし、入院期間3週間、職場復帰まで2~3ヶ月を要することや、1年後に金属プレートを抜去する手術が必要であることは課題といえます。多くの方は当然「できれば手術を受けたくない」「3ヶ月も休めない」と思われるでしょう。ただ、一度擦り減った軟骨は残念ながら再生しない特性があるので、是非ともご自愛いただき、手術のタイミングを逃さないよう、主治医の先生に良くご相談下さい。手術の詳細な内容をお聞きになりたい場合は、大学の外来でもご説明致します。膝の痛みが続く場合は股関節外来でも膝のレントゲンを追加で撮影致しますので、受付にて申し付けくださいね。

あなたを支え抜ける人間になりたい
私は、手術前の患者さまに「股関節の痛みが良くなったら何がしてみたいですか?」と伺うようにしています。そして、そのお答えの9割以上が「そんなこと考えたこともなかった」「また歩いてみたい」というものでした。これは私の仮説ですが、股関節の痛みはヒトから「あなたがしたかったこと」「あなたらしさ」を奪っていきます。というのも、股関節の痛みは多くの場合数年かけてジワジワ進行しますが、突然襲われる痛みへの恐怖心は計り知れませんし、歩けなくなるかもしれないという深刻な不安が付きまといます。また、動き始めや長時間歩行で痛み、どうしても足を引きずってしまうため、周りから「あなた歩き方おかしいよ」「歩くの遅くなったね」と心無い言葉を浴びせられます。きっと自尊心が傷つき、人前で歩きたくなかったのではないでしょうか。また、歩くことに自信が無くなるため、家族や友人からの食事や旅行の誘いも「私は迷惑をかけるから」と言って断るようになり、次第に生活範囲が小さくなってしまいます。皆さま、自分が好きだったものをいつしか諦めてしまい、「あなたらしさ」が分からなくなってしまっていたのではないでしょうか。

私には夢があります。それは「誰しもが本当に自分の好きなことを見つけ、それをたっぷりの自分らしさで取り組む。そして、そのことを応援し、ハイタッチしてくれる仲間がいる世界」の実現です。何故なら、私の使命は関節の痛みを取ることだけではなく、「あなたらしさ」を取り戻すことだと考えるからです。医師としてこれからも痛みや感染症の治療を追究しながら、愛に満ち溢れた優しい世界を創るため、皆さまを支え抜ける人間になるため、精進して参ります。

2024 年5月に福岡関節外科クリニックを新規開設致します この度、父である馬渡正明教授と共に福岡(博多区冷泉町)で診療所を開設することと致しました。最新のMRI やCT、骨密度を完備しており、引き続き迅速で正確な診断を心掛けて参ります。また広々としたリハビリ室を設計しており、2大コンセプトは「①肩関節・股関節・脊柱の柔軟性を高める」「②動画で効果をフィードバック」することです。理学療法は勿論、特殊なストレッチマシンや初動負荷マシン、ピラティスマシンを導入し、しなやかで強い身体作りを全力でサポートします。また、アクセスしやすい立地にありますので、これまで遠方で佐賀まで来られなかった方も、どうぞお気軽にご連絡下さいませ(電話受付:092-409-2424)。また、前回の股関節だよりで執筆しましたように、人工関節術後の方は、安全のため1~2年に1度はレントゲンを確認させていただきたいので、どうしても診察に来られそうにない方は、かかかりつけ医に股関節レントゲンを撮影いただき、福岡関節外科クリニックにご郵送下さい。オンライン診療(パソコンやスマートフォンを用いた診療)にてチェック致します。 
Life is Art. (人生はアート) 皆さまの毎日が喜びで溢れますように


関節リウマチでお困りの方へ

整形外科 診療講師 長嶺里美

『股関節だより』をご覧の皆さま、大変ご無沙汰しております。前回ここに書かせていただいたのが9年前の第29 号だったため、本当にお久し振りです。今回は関節リウマチ患者さんの薬物治療と手術治療について、この10 年で変わったことについてお話させていただきます。 薬物治療はますます進歩しており、高い治療効果が期待できるよい薬がさらに増えました。体内で炎症を起こさせるサイトカインの産生や免疫の働きをつかさどるT 細胞が異常に活発になってしまうのを直接抑えることで効果を発揮する生物学的製剤は7種類から9種類に、細胞の内側にあるJAK という酵素の働きを抑えることで複数のサイトカインの働きを抑え、炎症や関節破壊を抑えるJAK 阻害剤は1種類から5種類に増え、薬の使い方も上手になったことから、関節リウマチ治療は痛みをとるだけでなく、病気の進行を抑え関節が壊れるのを防ぐことで健康な人に近い日常生活を送ることができるようにするところまで進歩しています。

薬物治療の成績が改善したことで、かつてみられたような高度な関節破壊や変形をきたす患者さんはずいぶん減りました。進行を抑えることが難しかった時代は股関節や膝関節といった下肢の大関節の人工関節手術、足趾の切除関節形成術、手指の伸筋腱再建術が手術の主体でしたが、進行を抑えることができるようになったことで、手術方法にも変化が生じ、新たな需要が生まれています。近年ではリウマチのコントロールが上手くいっている患者さんに対して、さらなる生活の質(QOL)の向上や整容の改善させることを目的に手指や足趾の関節形成術を行う機会も増えており、薬物治療の進歩により再変形の進行の心配がなくなった結果、手指や足趾の関節を温存する手術が行われるようになりました。正常に近い機能への回復も期待できるようになり、一時は減少していた関節リウマチ患者さんに対する手術もここ数年は増加しつつあります(図1、図2)。

全国で70~80 万人いる関節リウマチ患者さんの約60%はリウマチ専門医ではない一般内科や整形外科で治療されていると言われています。患者さんに最適の治療を提供するためには、かかりつけ医とリウマチ専門医との連携が必須とされていますが、専門医が少ない地域にとってはそれもままならず、薬物治療が進歩したとはいえ十分な治療が受けられず、関節破壊や変形が進行してしまうこともあります。手術治療だって進歩しています。最適な手術のタイミングを決して逃さないよう、気になっているところがある方はお気軽にご相談ください。


膝関節班から初投稿⁉

整形外科 助教 松村陽介

みなさん、初めまして。膝関節を担当しています松村と申します。私は2016 年より佐賀大学附属病院で勤務しています。2009~2010 年にも大学病院で勤務していたので、合わせると大学病院勤務10年目となります。病室でお目にかかった人もいるかもしれませんね。

膝関節班からの寄稿はおそらく初めてです。今回は、膝関節治療に関する情報を少しみなさんにお届けしたいと思います。膝関節の人工関節手術は全国的にも多く行われており、実は股関節の人工関節手術よりもやや多いです。佐賀大学では、股関節の患者さんの方が多いのですが、膝関節の治療にも多く行っています。みなさんの病室にも膝関節の治療をされていた患者様もいたのではないでしょうか。

また、股関節と膝関節は隣接関節としてお互いに補い合いながら荷重歩行を行っていますので、股関節に高度の変形や可動域制限がある場合、膝関節にも変形が来しやすいことが知られています。われわれの外来には両股関節、両膝関節全てに人工関節置換術を行った患者さまもいらっしゃいます。初めにどの関節から手術をした方がいいですか?と質問されることがあります。基本的には脚長差などを調整しやすいように中枢に近い関節(股関節)から行うのが一般的ですが、術後に痛みの強い関節があるとリハビリテーションに支障をきたすこともあるため痛みが強い関節から手術を行うべきという考え方もあり、絶対的な順序は決まっていません。 また、我々は両側同時人工膝関節置換術後を積極的に行っています。両側同時人工膝関節置換術は入院や麻酔が1回で済むため、2回に分けて両膝の手術を行うのと比べて経済的負担(医療コスト)が少なく患者満足度が高いと言われています。しかしその反面、周術期の出血量が多いなど身体に与える侵襲は片側手術に比べて大きいのも事実です。そのため、両側同時人工膝関節置換術を行う施設はそれほど多くなく、佐賀県内では大学病院のみではないかと思います。

当院で行った両側同時人工膝関節置換術症例のデータを調査したところ、やはり両側同時手術の方が術後の合併症率はやや高い結果でした。特に循環器系の合併症が有意に多く術後合併症を起こした患者さまは、全員80 歳以上でした。ご高齢で循環器系の併存症を有する患者さまでは慎重な適応が必要と考えます。また、術後合併症を来しやすい危険因子として、低ヘモグロビン値(<11g/dl)、低アルブミン(<3.5g/dl)、併存疾患指数、フレイルインデックス(自立度や併存疾患など用いたフレイルの指標)などがわかりました。ちょっと難しい話になってしまいましたが、お伝えしたいこととしては、どんな治療法にもメリットもあればデメリットもあるという事です。

ひとことに膝関節痛と言っても、病態や患者さまの置かれている状況はさまざまです。患者さまに最も適した治療法を選択し提供したいと考えていますが、なかなかすべての患者さまにご満足いただくことは難しいのも事実です。手術治療のみでなく薬物療法や理学療法といった選択肢もあります。手術治療にもいろいろな方法があります。今まで行ってきた治療を振り返りどのようなメリット、またはデメリットがあるのかを明らかにすることで、患者さまにより詳細な情報を提供することができるようになります。

より納得して治療を受けていただけるように、われわれ膝関節班では臨床研究を行い、知識や技術の向上のために研鑽をつみつづけたいと思っております。 もし膝関節の痛みでお困りの方がいらっしゃいましたら、股関節外来の隣で膝関節外来も行っておりますので、いつでもご相談ください。


~肩関節班だより~

整形外科 助教 泉政寛

股関節だよりをご覧になっている皆様、はじめまして。佐賀大学整形外科の泉政寛(いずみ まさひろ)です。2007 年に佐賀大学を卒業し関連病院で研鑽した後、2016 年より大学で肩関節疾患を専門に診療を行っております。大学に戻った当初は股関節の患者さんも担当させていただいておりましたので、見覚えがあると思われる方もいらっしゃるかもしれません。今回は肩関節に関するお話と大学でどのような治療を行っているかをお話ししたいと思います。 まず、肩関節とはどのような関節かということですが、肩関節は皆様がお困りで治療された股関節とよく似た関節の形状をしています。肩関節は上腕骨と肩甲骨から構成されており、上腕骨の頭が肩甲骨の受け皿にはまっている関節です(股関節は大腿骨の頭が骨盤の受け皿にはまっている形です)。4足歩行から2足歩行となる進化とともに肩関節は股関節のような安定性ではなく、可動性を求めた関節となり受け皿が浅くて小さい形状になったと考えられています(図1)。

しかし、関節の安定性は必要であるため腱や靭帯といった軟らかい組織が肩関節の安定性に重要な役割を果たしています。肩関節には4つの腱が板状にならび腱板という呼名となっています(図2)。 この腱が経年劣化で痛んできて、腱板断裂となります。腱板断裂が痛みや可動域制限の原因となり外科的治療が必要になることが多いとされています。皆様や知人のなかにも肩の痛みや運動制限を感じられている方は一定数いらっしゃると思います。いわゆる40 肩、50 肩というものと思われ、いつか治るだろうと経過を見ている患者さんの中にはこの腱板断裂が原因となっている可能性があります。腱板断裂は緩徐にですが進行する病態ですので、活動性がある程度高い人には手術加療による修復が望まれます。肩の痛みが続く場合はMRI 検査にてしっかりとした診断をつけることをおすすめします。

大学ではこの腱板断裂に対して、関節鏡を用いて修復を行う手術を主に行っています(図3)。関節鏡の手術では1cm 程度の切開を4~5カ所行い手術するため、三角筋の損傷が少なく侵襲が少ないとされています。ただ低侵襲とはいえ、術後の痛みは完全に0にすることはできません。現在、ブロック注射や関節周囲に注射をおこない術後疼痛が軽減できるように工夫を行っています。この腱板断裂を放置していると修復ができないほど大きな断裂になることがあります。腱板の断裂が広範囲になると関節の安定性を失い、挙上困難となります。断裂していても疼痛などの症状が出現しない患者さんが多いため、気が付いたら大きな断裂になっている患者様が一定数いらっしゃいます。その様な状態の患者さんには筋膜移植や筋膜を使った関節再建術などが外科的な治療の方法でした。ただこれらの治療は手術時間が長くなること、リハビリ期間が長期にかかることがデメリットと考えていました。2014 年以降は日本でもこのような患者さんに対する特殊な人工関節が使用できるようになりました(図4)。

患者さんや術者の基準などが厳格に設けられていること、治療の最終手段であることから手術適応は慎重に行う必要はありますが、当院では特殊な人工関節の手術数は増加していっています。 長い文章を書いてしまい、読みづらい部分もあったかと思います。手術の必要な状態かどうかを判断するには診察、検査が必要です。肩痛でお悩みの患者さんがいらっしゃれば、股関節外来受診のついででもよいのでご相談いただければと思います。


足の悩みはありませんか?

整形外科 助教 坂井達弥

こんにちは。足部足関節と膝関節を担当しています坂井です。読まれている方の中には、私が病棟で担当させていただいた方もいらっしゃるかと思います。お久しぶりです。 今回、股関節だよりを執筆する機会をいただきましたので、足のことでお悩みの方に少しでも役に立つ話ができればと思っております。 まず足とは、股関節や膝を含めない、足首からその指先までの部位のことです。足は人間の直立二足歩行を支える「土台」で、平衡を保つ「バランサー」の役割があります。足を怪我したり、使いすぎたりすると、その機能が低下して、違和感や痛み、歩きづらさ、靴が入らない、靴が当たって痛いなどの症状が出ることがあります。 足が痛いと来られた方に、まず問診と診察をするのですが、足の「どの」部分が「いつ」、「どこで」、「何をしたら」、「どのように」痛いのかということをお尋ねします。そして痛い部分がどこか、押したり、動かしたり、時には超音波エコーを用いたりして探していきます。

足の皮膚は薄く、骨や関節がすぐ皮膚の下にあるので痛みのある場所は調べやすく、こういった問診や診察は大変重要です。 足は28 個の骨で構成されており、骨と骨の間には繋ぐ靭帯と関節があります。また関節を動かす筋肉や腱、運動や感覚を支配する神経、組織を栄養する血管など様々な組織があり、現在でも医学的・解剖学的にわかっていないことが多くありますが、問診や診察、画像検査、血液検査などからどういった病気・障害なのか、その原因は何か、どういった対応をしたらいいのかを考え、治療をすすめていきます。

外反母趾や扁平足、変形性足関節症といった、耳にしたことがあるような病名の他にも、骨や関節が多い分、沢山の病気・障害があります。診断がつかなくて困ってらっしゃる方などもぜひご相談ください。 最後に、当院の足の外科では、特に「変形性足関節症」の手術治療に力を入れています。股関節や膝関節と同様に軟骨の擦り減りや変形に伴う足首の痛みに対して、保存的な治療を行っても効果がない場合に、手術によって症状の改善をはかります。手術治療は主に、骨切り術、人工関節置換術、関節固定術があり、変形の程度や進行具合、社会的背景などを考慮して、治療方針を検討して参ります。また当科の股関節・膝関節診療でこれまで培われた経験、合併症対策を活かして、診療に取り組んでおります。同様の症状がある方や過去に診断を受けられた方で気になっている方など、お気軽にご相談ください。


新任の挨拶

整形外科 医員 梅木駿

股関節だよりをご覧の皆様、こんにちは。2023 年4月より佐賀大学医学部附属病院に赴任しました梅木駿と申します。出身は福岡県久留米市で自治医科大学を卒業し、2017 年に佐賀大学整形外科に入局しました。入局後は、唐津赤十字病院や神集島診療所での勤務を経て、2020年より伊万里有田共立病院、JCHO 佐賀中部病院、多久市立病院で臨床経験を積ませて頂きました。 知識・技術ともにまだまだ未熟でありますが、これまで先生方にご指導頂いたことを少しずつ昇華させながら、患者さんの役に立てるように日々精進して参りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

整形外科 医員 伊藤勇人

股関節だよりをご覧の皆様、こんにちは。2022 年4月より佐賀大学医学部附属病院整形外科で勤務しております、伊藤勇人と申します。出身は佐賀県唐津市です。2019 年に佐賀大学医学部を卒業し、佐賀大学医学部附属病院で2年間の初期臨床研修を行いました。 その後済生会唐津病院、JCHO 佐賀中部病院等の関連病院で勤務し、外傷を中心とした臨床経験を積ませて頂きました。至らない点は多々ありますが、指導医の先生方のご指導賜りながら日々研鑽を積んでおります。微力ながら皆様の痛みに対してお役に立てるよう精進して参ります。よろしくお願い致します。

整形外科 医員 宮本和樹

股関節だよりをご覧の皆様こんにちは。2023 年4月より佐賀大学医学部附属病院で勤務しております、宮本和樹と申します。出身は熊本県八代市です。佐賀大学を卒業後、NHO 佐賀病院で2年間初期研修を行いました。元々外科系に興味があったのですが、研修中に整形外科をローテートした時に、整形外科の治療や手術に魅力を感じ、整形外科に入局することを決めました。先生方には親切にご指導頂きながら日々研鑽を積ませて頂いております。 まだまだ分からないことも多々あり未熟者ではございますが、日々精一杯頑張っていき、少しでも皆様のお役に立てるよう精進してまいりますのでどうぞ宜しくお願い致します。

整形外科 医員 山口勝城

股関節だよりをご覧の皆様、こんにちは。2023 年4月より佐賀大学医学部附属病院整形外科で勤務しております、山口勝城と申します。出身は福岡県八女市です。2021 年に佐賀大学医学部を卒業し、国立病院機構嬉野医療センターで2年間の初期研修を行いました。学生の頃から整形外科の診療に興味があり、研修を通じてさらに魅力を感じ、本年度より整形外科に入局しました。まだまだ未熟な点が多々あり、ご迷惑をおかけする場面も多いと思いますが、先生方の熱心で手厚い指導のもと、日々研鑽を積んでおります。 皆様のお役に立てるように日々精進してまいります。何卒よろしくお願いいたします。

整形外科 臨床大学院 樫本翔平

股関節だよりをご覧の皆様、こんにちは。 本年4月より佐賀大学医学部大学院に進学いたしました樫本翔平と申します。出身は福岡県北九州市です。佐賀大学医学部を卒業後、2年間の初期研修を経て2018 年4月に佐賀大学整形外科に入局しました。佐賀大学医学部付属病院で1年間勤務し、その後は福岡記念病院や済生会唐津病院、副島整形外科病院、えにわ病院で整形外科医としての研鑽を積んでまいりました。 外傷から変性疾患まで様々な患者様の治療に携わり、肩関節分野に興味を持つようになりました。肩関節では腱板断裂に対する治療の割合が大きく、腱や靭帯の再生について研究を行っています。研究が患者様の利益となるよう、日々精進してまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。