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[リレーブログ]

2020.04.20

小川島診療所
小林孝巨

離島でサバイバル

小川島からこんにちは、小川島診療所の小林孝巨です。私は自治医大出身であり、家庭医として離島医療に取り組んでいます。今回は皆様に、島の生活をお伝えします。

まず、診療所の紹介です。日中は医師、看護師、事務員の3人体制です。生活習慣病予防、お看取り、予防接種、健診、学校医などを中心に活動しています。健診では内視鏡検査、胃透視、レントゲン検査、エコーなどを行い、癌やその他の疾患の拾い上げをしています。日頃の外来では、内科的疾患だけでなく整形外科疾患が極めて多い印象です。転倒歴のある患者さんが多く、転倒予防に特に力を入れています。急患が出た場合はヘリを要請するか、少し待てる場合は船を手配して救急車で病院まで搬送します。搬送用の船がないので、住民の漁船を探します。人手不足が深刻であり、島の住民に検査や搬送を手伝って貰っています。採血には時間がかかり、またその他の詳しい検査もできませんので、病院の振り分けには毎回悩みます。島の高齢化率は50%前後ですが、子どもも在島しており、気が抜けない日々を過ごしております。夜間は医師1人体制です。診療所の裏に納骨堂が広がっており、街灯が少なく、またイノシシにも出会う可能性があり、深夜の急患は特に緊張します。道が物凄く狭く、徒歩もしくはロードバイクで移動します。診療所の上に在住ですが、電気がつかない、ネットが通じない、困った時に店がないという島の特殊な環境で、今しか経験できないサバイバルを楽しんでいます。小川島の住民の方々はとても温かく、冷蔵庫一杯になるほど差し入れを頂き、またお食事にも度々招いて頂いています。一緒に働くスタッフの方々にも大変温かくして頂き、とても働きやすい、実は住みやすい環境です。小川島に来て本当に良かったと感じています。陸へ渡った際は、佐賀大学病院や唐津赤十字病院の整形外科はじめ他の診療科の先生方、市民病院きたはたの先生方にも日頃よりご指導を頂いており、感謝の気持ちで一杯です。

次に、小川の海の幸をご紹介致します。魚釣りは島の診療をしていく上でとても大切なコミュニケーションであり、釣りを通じて患者さんの情報や困っている人の情報が入ってくることがあります。普段はアジを中心に捕獲し、食を繋いでいます。波止場から、釣ったアジを餌に泳がせて1m越えのヒラスも釣れます。釣り上げた魚は住民に振る舞います(振舞って頂く事も多々あります)。また、6-7月は海岸でウニが食べ放題です。島民の間で、錘と針をしゃくってカマスを釣る ”カマス引っ掛け” が昔から流行っています。餌なしで釣れますが、肩を酷使するため肩板断裂の患者さんが多いです。診療所としては、少しお金がかかりますが、肩を酷使しない ”サビキ釣り” を推奨しています。

最後に、佐賀大学の学生さんへ小川島 のPRです。“市民病院きたはたの地域実習”を選択した学生さんは皆、1日だけ小川島に来て頂いてます。島では明治大正にタイムスリップしたような雰囲気とジブリ感を楽しめます。また内科疾患だけでなく、整形外科疾患も非常に多く勉強になります。整形外科に興味のある学生さん、小川の幸をたらふく食べたい先生方、レトロな雰囲気を堪能したいジブリ好きのあなた、小川島で会いましょう!!