見学のお問合せ

[リレーブログ]

2023.04.04

東佐賀病院
古賀有香里

双子産まれました!

リレーブログをご覧の皆様、こんにちは。整形外科入局5年目の古賀有香里です。リレーブログは2020年8月以来、2度目の寄稿です。前回執筆の松尾先生からバトンを引き継いだわけですが、なんという偶然でしょうか。私、実は松尾先生が勤務しているNHO佐賀病院で、2023年2月22日に双子の女の子を帝王切開で出産したばかりなのです!

なので今回は少し趣向を変えて出産レポートをしたいと思います。

 

多胎妊娠は単胎児妊娠と比較しハイリスク妊娠になるため、妊娠32週目から佐賀病院で管理入院が行われました。SAGAサンライズパークの工事も大詰めのようで、夜中近くまで工事音がしていましたよ。妊娠後期に妊娠糖尿病がわかり、入院生活唯一の楽しみである食事は薄味の栄養管理食となってしまいました。自分が治療する立場であった時には患者さんに「食事も治療の一つです。」なんて言っていましたが、モチベーションとして食事がかなり重要であることがわかりました。出産間近の腹囲は100cmを超えて常に反り腰でないと歩けなくなりました。腹部の圧迫感で常に苦しく、赤ちゃん2人に送らなければならない循環血漿量が増えたために浮腫もひどかったです。術前はほぼ寝たきりでした。

妊娠37週で予定帝王切開が行われ、麻酔は硬膜外麻酔と脊髄くも膜下麻酔(以下、脊麻)の併用でした。脊麻は整形外科では下肢の手術でよく用いられ、硬膜外麻酔も寛骨臼回転骨切り術などの術後鎮痛のために用いられます。硬膜外麻酔は硬膜外に麻酔薬を注入するための細い管を留置し、その先に薬液のボトルを繋げています。これで術後も鎮痛が行えます。これらを導入する際に局所麻酔をしますが、「歯医者さんの麻酔と同じ、ズーンとした感じがします。」と表現することがあります。自分が経験するまで本当かな?と半信半疑でしたが、実際にそのような感じがしました。その後、麻酔薬がくも膜下に入ると腰から下が温かく感じ、触られている感じは鈍くわかるのですが、温痛覚は全くない状態になりました。普段自分がしている麻酔が実際にどう感じるか体験できて感動しました。

手術が始まり、お腹をぐいぐい押される感覚がしばらく続いた後、赤ちゃんが1人ずつ取り出されました。すぐに泣き声をあげてくれ、少し顔を見せてもらうと保育器に入れられて新生児治療室へ連れて行かれました。その後、私は眠らされ、気づいた時には病室に戻ってきていました。2L近くの出血があったため、断続的にシバリング(体温が低下しガタガタ震える状態)を起こしたことを覚えています。この時点ではまだ麻酔が効いていて痛みは0でした。時間が経ち、徐々に足の感覚が戻って来ると少しずつ痛みを感じるようになり、創の痛みなのか後陣痛の痛みなのかわからないけどもとにかく痛い!という状態になったので、硬膜外麻酔薬を追加してもらったり、点滴の鎮痛薬を使ってもらったりしてなんとか凌ぎました。

術後1日目はベッド上安静でしたが、問題は2日目です。早期離床早期回復を目指して離床が開始されます。これは術後の長期臥床による深部静脈血栓症を防ぐためでもあります。硬膜外麻酔はこの時点で除去されました。まずは座位になるのですが、腹筋が引き伸ばされていた期間が長いため腹筋力0で起き上がらなければなりません。ベッド柵を掴んで腹の痛みを堪え、何とか起き上がったところで酸欠を起こして立位・歩行は断念せざるを得ませんでした。術後3日目には何とか立って歩くことが出来ました(歩けるようになると尿道カテーテルと点滴は抜去されます)が、ずっと反り腰で歩いていたために骨盤の前傾癖がつき、バランスを取るのが難しかったです。ようやく妊娠前のような歩行ができるようになったのは術後6日目くらいからでしたが、長い入院でかなり筋肉が減っておりリハビリテーションを希望したいくらいでした。

双子は姉が2068g, 妹が2566gで産まれ、姉が低体重のために少し入院が延びましたが、健康状態は問題なく3月中旬に退院できました。現在は育休中で双子育児に追われる日々を過ごしています。

 

さて、長々とレポートしてきましたが、松尾先生からの質問に答えたいと思います。新年度の抱負・やってみたいことは何か、ということでした。仕事面では出来れば年度途中で職場復帰し、臨床から離れていた分を取り戻したいですね。

当整形外科医局では、女性医師の産休育休への配慮があるだけでなく、男性医師においてもお子さんの入卒園式・入学卒業式参加のために休暇を取る先生方も多く、ライフワークバランスがとりやすいのではないかと思います。

 

最後になってしまいましたが、現在私が勤務している東佐賀病院を紹介します。

東佐賀病院は一般病床140床・結核病床30床・重症心身障害児(者)病床165床の計335床を有する、佐賀県東部地区の地域医療を担う病院です。やはり特徴的なのは、結核病棟と重症心身障害病棟でしょうか。結核の脊椎播種や障害児・者の脆弱性骨折など整形外科とも深い関わりがあります。整形外科は私を含め、現在4人体制で日々の診療に当たっており、平日午前中は外来、午後は手術を行っています。高エネルギー外傷や脊椎手術など派手な症例こそありませんが、地域医療にどう貢献していくか日々患者様やその家族、医療スタッフとの関わりなどから学べる病院なのではないかと思います。

 

では、次のブログ担当の先生への質問です。整形外科になってよかったと思った出来事はありましたか?