佐賀医科大学 整形外科 本岡 勉
皆様こんにちは。昨年11月より佐賀医大整形外科に勤務しております本岡と申します。今回は歩行分析について少しお話をさせていただきます。
整形外科医にはおのおの得意分野があります。私はその中でも足の外科(足首から先の疾患を扱う分野)に興味を抱いている者です。が、佐賀医大に来てからはH教授に言いくるめられ、いや御意向で、すっかり股関節に浮気をしてしまい、股関節疾患の患者様の主治医や手術に多くつかせていただいております。さらに最近、これまでまとまった報告のない、股関節疾患の歩行分析と付き合ってみては(研究してみては)どうか、という大変興味深いテーマをいただきました。足に股関節に歩行分析と、一人で二股も三股もかけもちです。身持ちの固い私がこんなことをして良いのでしょうか。わかりやすく今の私の状態を源氏物語に例えてみるとするならば、(勝手に自分を光源氏としますと)若い頃からの永遠の憧れである藤壺の宮が足の外科、勧められて結婚した正妻・葵の上が股関節外科、これまで誰も手をつけておらず、これから自分好みの女性に養育しようという紫の上が歩行分析、ということになるでしょうか。もてもてで困ります。しかし歩行分析は必ずや皆様のお役に立つ検査です。
人工股関節の手術前に皆様にお渡しした更生医療文書には、「手術によって股関節痛の軽減と歩行の改善が期待できる。」という一文が書いてあったはずです。また、日本整形外科学会の変形性股関節症判定基準の中にも歩行能力という項目があります。皆様が股関節の手術を受けられた理由は、“痛み”と“歩きにくさ”にあると思います。“痛み”は感じ方が漠然としたものですから、数字できちんと何分の一になったと表すのは難しいのですが、“歩きにくさ”は特殊な布の上をほんの3mほど歩いていただくだけで、手術後の皆様の歩き方がどれだけ正常になったかを数字で表すことができます。さらにこれらの数字の組み合わせ方によっては、今後、こういう点に注意して歩くと良い、とか、こういう点が改善されるリハビリをすればもっと良い歩き方になる、といったことまでアドバイスできるようになるのではないかと考えています。これまで30人以上の患者様にお願いして歩行分析をさせていただきましたが、やはり入院時と退院時には歩き方は確実に違っています。これが半年後、一年後にはどのように変わっていくのか、そこから分かったことを皆様にどうフィードバックすればよいのか、それがこれからの
興味でもあり、課題でもあります。出てくるデータは膨大で、処理する私たちは実は大変なのですが、患者様にとっては、“黙って歩けばピタリと当たる”、そういう検査を目指しています。できるだけお手間は取らせないようにしますので、今後ともどうぞ御協力の程よろしくお願いいたします。
皆様こんにちは。昨年11月より佐賀医大整形外科に勤務しております本岡と申します。今回は歩行分析について少しお話をさせていただきます。
整形外科医にはおのおの得意分野があります。私はその中でも足の外科(足首から先の疾患を扱う分野)に興味を抱いている者です。が、佐賀医大に来てからはH教授に言いくるめられ、いや御意向で、すっかり股関節に浮気をしてしまい、股関節疾患の患者様の主治医や手術に多くつかせていただいております。さらに最近、これまでまとまった報告のない、股関節疾患の歩行分析と付き合ってみては(研究してみては)どうか、という大変興味深いテーマをいただきました。足に股関節に歩行分析と、一人で二股も三股もかけもちです。身持ちの固い私がこんなことをして良いのでしょうか。わかりやすく今の私の状態を源氏物語に例えてみるとするならば、(勝手に自分を光源氏としますと)若い頃からの永遠の憧れである藤壺の宮が足の外科、勧められて結婚した正妻・葵の上が股関節外科、これまで誰も手をつけておらず、これから自分好みの女性に養育しようという紫の上が歩行分析、ということになるでしょうか。もてもてで困ります。しかし歩行分析は必ずや皆様のお役に立つ検査です。
人工股関節の手術前に皆様にお渡しした更生医療文書には、「手術によって股関節痛の軽減と歩行の改善が期待できる。」という一文が書いてあったはずです。また、日本整形外科学会の変形性股関節症判定基準の中にも歩行能力という項目があります。皆様が股関節の手術を受けられた理由は、“痛み”と“歩きにくさ”にあると思います。“痛み”は感じ方が漠然としたものですから、数字できちんと何分の一になったと表すのは難しいのですが、“歩きにくさ”は特殊な布の上をほんの3mほど歩いていただくだけで、手術後の皆様の歩き方がどれだけ正常になったかを数字で表すことができます。さらにこれらの数字の組み合わせ方によっては、今後、こういう点に注意して歩くと良い、とか、こういう点が改善されるリハビリをすればもっと良い歩き方になる、といったことまでアドバイスできるようになるのではないかと考えています。これまで30人以上の患者様にお願いして歩行分析をさせていただきましたが、やはり入院時と退院時には歩き方は確実に違っています。これが半年後、一年後にはどのように変わっていくのか、そこから分かったことを皆様にどうフィードバックすればよいのか、それがこれからの
興味でもあり、課題でもあります。出てくるデータは膨大で、処理する私たちは実は大変なのですが、患者様にとっては、“黙って歩けばピタリと当たる”、そういう検査を目指しています。できるだけお手間は取らせないようにしますので、今後ともどうぞ御協力の程よろしくお願いいたします。