骨軟部腫瘍班医局紹介

佐賀県で骨軟部腫瘍診療始まります!
2024年4月より骨軟部腫瘍班が立ち上がります。トップ施設である国立がん研究センター中央病院で学んだ経験を生かし、骨軟部腫瘍患者さんの診療を行います。
骨軟部腫瘍は体のあらゆる部位に発生しますので、各班と密接な連携をとりつつ診療します。また、転移性骨腫瘍・がんロコモも積極的に取り組む所存です。
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概要
骨軟部腫瘍外来は月曜日午前に戸田雄医師が行っています。骨軟部腫瘍は軟部腫瘍と骨腫瘍に大別されます。その中で、良性・中間悪性・悪性に分類され、分子病理学的特徴を基に50以上の亜型に細分化されます。骨軟部腫瘍はあらゆる部位に発生するため、対象となる部位は多岐にわたります。また様々な年齢に発生することが知られています。原発性骨軟部腫瘍だけではなく、転移性骨腫瘍も担当します。近年、高齢化やがん治療や画像検査に伴い、骨転移を有したまま生存できる患者さんも増加しています。転移性骨腫瘍のマネージメントも整形外科の仕事の一つとなります。
(1) 原発性骨軟部腫瘍
骨軟部腫瘍が疑われた方は診断が必要となります。画像で診断がつく場合には、治療方針(保存加療も含めて)を決定します。診断がつかない場合、あるいは判断に迷う場合には生検(針あるいは切開)をし、診断を確定させてから治療を行います。骨や軟部組織から発生した悪性腫瘍は肉腫と表現されます。肉腫の発生頻度は低いものの、専門的診断や治療が必要となります。肉腫の種類によっては術前後に化学療法が必要な場合があります。また、放射線治療が必要な方もいらっしゃいます。手術し、摘出した検体は病理部に提出し、診断を確定します。
(2) 転移性骨腫瘍
四肢長管骨・脊椎骨・骨盤骨が好発部位になります。整形外科に相談となる転移性骨腫瘍の患者さんの主な症状は骨折・疼痛・脊髄圧迫による神経障害です。主治科と相談しながら、患者さんの状態を見て、QOL・ADLを保つために手術を行います。また、手術治療だけでなく保存加療にも積極的に関わっていきます。骨折を予防するためのギプスやシーネなどの外固定を行ったり、デノスマブなどの骨修飾薬の投与・放射線治療の適応も主治科と相談していきます。放射線科と連携して、骨転移のある患者さんをピックアップして、早期介入を行うよう心掛けています。
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代表症例
[50代 膝関節内軟部腫瘍] 膝関節をあけ直視下に腫瘍を辺縁切除施行。術後再発なく経過している。

[20代 右大腿骨近位部腫瘍] 良性骨腫瘍に対して腫瘍掻把+内固定術施行。

[50代 転移性脊椎腫瘍] 第3腰椎転移性脊椎腫瘍に対して椎弓切除+後方固定施行

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研修の到達目標
①画像診断
・腫瘍の局在を理解する
・画像から腫瘍の鑑別を挙げることができる
②手術計画・手技
・解剖(筋肉、骨、血管、神経)を理解する
・(悪性の場合)切除範囲を決定することができる
・基本的な手術手技(結紮、血管・神経処理、骨・筋肉切離、皮膚縫合)を行うことができる
③周術期管理・合併症対策
・手術後の管理を行うことができる
・合併症を予測して、予防することができる
・合併症が行った場合、適切に対応ができる
④臨床研究
・年に1回、全国規模(日本脊椎脊髄病学会学術集会、日本整形外科学会学術集会、日本整形外科学会骨軟部腫瘍学術集会など)で学会発表
・学会発表をもとに論文作成