膝関節班医局紹介

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特徴
膝関節診療班では、主に4人のスタッフにて膝関節の手術療法を中心に診療しており、その豊富な手術実績をもとに、その後の患者様へフィードバックできるように臨床研究を重ねております。膝関節外科の3本柱であります、関節鏡手術、膝関節周囲骨切り手術、人工膝関節置換術など、ほぼ全ての手術症例に対応可能でありまして、特に人工膝関節置換術、膝関節周囲骨切り手術には力をいれております。
人工膝関節置換術は、虫歯に対するインプラント治療に似た治療法です。加齢に伴い傷んだ軟骨や変形した膝を元通りに戻すことはできませんので、人工関節に入れ替えることで痛みを取り除き変形を改善させる方法です。世界的にも多くの人工膝関節置換術が行われ、安定した長期成績が報告されています。しかし、ある一定頻度で感染、骨折、血栓症などの合併症が生じることも事実です。できるだけ合併症なく手術が受けていただけるように、努力を続けていきたいと思います。
また、最近では自分の関節を温存する膝関節周囲骨切り手術を積極的に取り入れております。膝関節周囲骨切り術は、変形が比較的軽い(変形性関節症初期~中期)患者様に対して適応となります。自分の関節を温存できる骨切り手術は、活動性の高い若年者やスポーツ愛好家、重労働(農業を含む)に従事している患者様にとっては、特にメリットが大きいと考えています。
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対象疾患
変形性膝関節症、リウマチ性膝関節症、前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、外側側副靭帯損傷、骨軟骨損傷,骨壊死症、成長軟骨障害,半月板損傷、円板状半月板、離断性骨軟骨炎、膝蓋骨脱臼・亜脱臼、膝蓋大腿関節障害、など。
当院で行っている主な膝関節手術
- 人工膝関節全置換術
- 人工膝関節再置換術
- 内側・外側人工膝関節単顆置換術
- 両側同時人工膝関節置換術
- 前十字靭帯温存人工膝関節置換術
- 内側開大型高位脛骨骨切り術
- Hybrid外側閉鎖型高位脛骨骨切り術
- 両側同時高位脛骨骨切り術
- 大腿骨内反・外反骨切り術
- 大腿脛骨同時ダブルレベル骨切り術
- 鏡視下前十字靭帯再建術
- 鏡視下後十字靭帯再建術
- 膝蓋大腿靭帯再建術
- 離断性骨軟骨炎軟骨柱移植術
- 鏡視下半月板縫合・切除術
- 鏡視下滑膜切除術、他
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手術実績
2020年1月から1年間の膝関節関連手術は285膝でした。人工膝関節関連手術(UKA、revision含)は147膝で、膝関節周囲骨切り術が22膝でした。その他が鏡視下手術・抜釘等となります。
コロナ禍の影響もありやや手術件数は減少しておりますが、個々人の膝の変形の程度、特徴をよく考慮し、人工膝関節や膝関節周囲骨切り術の最適な手術法を選択するよう努めております。
膝関節年間手術症例数

人工膝関節年間手術症例数

膝関節周囲骨切り術年間症例数


人工膝関節置換術

高位脛骨骨切り術
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膝関節診療班の研修到着目標
① 膝関節周囲の解剖(切開・アプローチの確認)
- 正中切開、内側・外側切開
- 傍膝蓋骨アプローチ、mid-vastus アプローチ
- 外傷(大腿骨遠位部骨折、脛骨近位部骨折、膝蓋骨骨折)
② 膝関節疾患の理解(病態・原因・診断・治療)
- 変形性膝関節症
- リウマチ性膝関節症
- 膝関節骨壊死症
- 化膿性膝関節炎
- 前十字靭帯損傷
- その他 膝靭帯損傷
- 半月板損傷
- 骨折外傷(大腿骨遠位部骨折、脛骨近位部骨折、膝蓋骨骨折)
③ 膝関節診察
- 膝蓋跳動の触診
- 可動域の計測
- 半月板症状の誘発test
- 前十字靭帯不安定性test
- 側副靭帯stress test
- 膝蓋骨不安定性test
④ 膝関節手術の術前計画
- 人工膝関節置換:術前計測、sizing、骨切り予想ラインの設定
- 膝関節周囲骨切り術:膝関節パラメータの計測、矯正骨切り量の設定
⑤ 膝関節手術の術前計画
- 基本的関節鏡ルーティン手技
- 基本的膝関節アプローチ
- 骨切り術、骨接合術のplating
⑥ 臨床研究(学会発表)
- 年間を通して一つのテーマの解析を行い地方・全国学会で発表
- 学会発表のデータをもとに論文作成